犬は生後90日から1年くらいの間にかけて急速な成長をします。
体のほうも当然、その成長の速度に見合ったカロリー補給を必要とします。
したがって、この時期には足りなさそうな様子こそ見せても、食事を食べ残すことは体調の異常がない限り、まずないでしょう。
生後1年を過ぎると骨格も完成し、立派な成犬となります。
食事の回数も1日に1回、体力の維持だけを考えて与えるようにします。
この時期になると、特定の理由がなくても、食事をとらなかったり、残したりするようなことがあります。
1回くらいそういうことがあっても、飼い主がとくに心配することはありません。
新鮮な水だけを与えておきます。
病気など目立った徴候がなければ、次回から食欲は戻るはずです。
また、食べ残しの原因が最初から犬のわがままとわかっている場合、対応は違ってきます。
食器を片づけて新鮮な水だけ与えて放っておきます。
つぎの食事のとき同じ内容の食事を与えます。
途中で妥協せず食べるまで続けてください。
献立にわがままを許して好物だけを与えると、偏食の原因になり、しつけの面でも悪影響を及ぼします。
甘やかさず厳しい態度を示してください。
高橋ナツコ(ペットシッター)
犬は食べたものが体に合わなかったり、消化ができないものであれば吐いて戻します。
このような消化不良や過食が原因の一時的な嘔吐であればさほど心配はいりません。
しかし、激しい嘔吐をくり返すときは厳重な注意が必要です。
すぐに獣医さんの診断を受けて病名をはっきりさせるようにしましょう。
嘔吐の原因としては、胃カタル、腸閉塞、胃炎など消化器系の障害、レプトスピラ症、犬パルボウイルス感染症などの伝染病、そして食中毒などが考えられます。
胃カタルは腐敗したものや消化の悪いものを食べたときに起こし、栄養障害から衰弱していきます。
とくに子犬に多発しますが、ただちに獣医さんに診てもらいましょう。
腸閉塞も子犬に多い病気です。
高橋ナツコ(ペットシッター)
腹部がふくれる原因もいくつか考えられます。
犬のふだんの動作や体の状態、食欲と食事の量、運動量などから判断しなければなりません。
食欲もあり、体全体が太っていて、それで腹部がふくれているのであれば肥満といえましょう。
過食や間食、運動不足などが原因になります。
病的な肥満になると腹部が異常にふくれます。
肥満が進行すると、体の各器官に対して負担も大きくなり、いろいろな障害が出てきます。
適切な食餌療法を行い、運動不足を解消するなど、正常な体重に戻すための努力をしなければなりません。
子犬の場合であれば、寄生虫が腸に寄生すると、腹部がふくらんできます。
食欲があるわりにやせていたり、成長が遅く思えるときは寄生虫症を疑ってよいでしょう。
進行すると下痢や嘔吐が見られ、異物を食べたりしたために腸がふさがってしまう病気です。
寄生虫の駆除や開腹手術など、緊急の処置が必要です。
胃炎も腐敗したものを食べたり、異物、薬物など、刺激物を口にしたことによって胃の粘膜に炎症が起こります。
嘔吐とともに激しい腹痛をともなうのが特徴です。
レプトスピラ症や犬パルボウイルス感染症は恐ろしい伝染病で、嘔吐とともに血便や粘液性の下痢など激しい症状を起こします。
一刻を争う獣医による、治療が必要な病気です。
食中毒は腐敗したものや、消化の悪いもの、薬物、異物などを口にしたことが原因になります。
そのほかに嘔吐や下痢をくり返すネギ中毒が知られています。
高橋ナツコ(ペットシッター)
腸に寄生虫が詰まってしまい腸閉塞を起こし死亡することもあります。
ただちに獣医さんに診てもらいましょう。
成犬の場合、犬フィラリア症に感染すると、腹水がたまり、腹部がふくらんできます。
呼吸が荒くなってセキをしたり、浮腫、血尿などの症状が見られます。
腹部がふくらんでこのような症状が出たときは、すぐに獣医さんの診断をあおぐ必要があります。
高橋ナツコ(ペットシッター)
便は犬の健康状態のバロメーターといえます。
日常の飼育のなかで、必ず便をチェックするようにしてください。
下痢は病気ではなく、何かが原因で引き起こされる症状です。
その症状の程度によって、しばらく様子を見てもよい場合か、一刻を争って獣医さんの診断が必要な場合とがあります。
いずれにしろ、体調がよくて下痢をすることはないのですから注意が必要です。
まず、通常の下痢の原因としては、過食、消化不良などが考えられます。
適切な食事量や犬の体に合った食事を与えるという配慮が必要です。
このほか、腐敗しかけたものを食べれば、当然下痢をします。
また、過度の精神的ストレスがかかった場合も下痢を起こします。
つぎに考えられるのが寄生虫の寄生によって、引き起こされる下痢です。
回虫症、鉤虫症などがあります。
血便や粘液便が見られることもあるので要注意です。
駆虫剤による駆除を行い、定期的な検便をするといいでしょう。
食器や犬舎も清潔に保ってください。
最後にウイルスの感染によって起こる下痢があります。
犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症などの伝染病がそれです。
下痢の症状が激しく、血便、粘液便が見られて、強い腐臭を放ちます。
とても危険な状態ですので、ただちに獣医さんに診てもらいましょう。
また、血便、粘液便、黒色便などの場合は生命にかかわることが多いので、すぐに獣医さんの診断を受けることが必要です。
高橋ナツコ(ペットシッター)
シャンプーが終わったら、必ず耳の中に水分を残さないようにふき取ってください。
乾いた綿棒などを使うとよいでしょう。
また、耳アカがたまらないように耳の掃除も行いましょう。
綿棒にオリーブオイルをつけて汚れをふき取り、その後に乾いた綿棒で残ったオイル分をふき取ります。
耳の中に毛が密集している犬種は、とくにそのままの状態だと汚れがたまりやすくなりますので、指でつまんで毛を引き抜いてください。
その後、同様にオリーブオイルで手入れをしておきます。
耳疵癬症の治療としては内服薬や外用薬などありますが、獣医さんの指示を受けてから使用するようにしてください。
予防法としては耳の中はもちろんのこと体を清潔に保つようにしましょう。
高橋ナツコ(ペットシッター)
耳の中を見て、分泌物がたまって悪臭がしたり、ただれていたら、外耳炎や耳疹癬症の疑いがあります。
かゆさと痛みでしきりに耳をかいたり、気にして頭を振ったりするのです。
耳が不潔になりやすい耳の長い犬種や長毛種の犬に多発します。
外耳炎は耳の長い犬種や長毛種の犬に多く見られます。
耳が不潔になりやすいからです。
シャンプーなどのとき、耳の中に水が入ったのをそのままにしておくとかかります。
耳アカがたまり、そこに細菌が侵入して症状を起こすわけです。
このほか、原因としてアレルギー性や耳疵癬、カビなどの二次感染が考えられます。
耳済癬症は耳ダニという寄生虫の寄生により起こります。
赤い斑点ができて、狂ったようにかきむしります。
その傷口から細菌が侵入して炎症を起こし、外耳炎などの原因にもなります。
高橋ナツコ(ペットシッター)
予防法としては、歯石は歯石を除去して、口の中を清潔に保つようにします。
がんこな歯垢は獣医さんに頼んで専門の器具で取ってもらいましょう。
胃炎は異物や刺激物など、犬の体に合わないものを口にしたため、胃の粘膜に炎症を起こす病気で、嘔吐や激しい腹痛を起こします。
腎臓に細菌が侵入すると腎炎を起こしますが、腎炎が悪化すると尿毒症に陥ります。
尿毒症は尿が出なくなるという重大な病気です。
犬ジステンパー、レプトスピラ症は愛犬家にはよく知られている通り、死亡率の高い、たいへん恐ろしい伝染病です。
胃炎、尿毒症、犬ジステンパi、レプトスピラ症とも症状として、多量のよだれを流し、強い口臭があります。
よだれを流したり、口臭が強いといってもこれだけの病気が考えられます。
症状の程度にもよりますが、中にはすぐさま生命にかかわる病気もありますので獣医さんの診断を受けましょう。
高橋ナツコ(ペットシッター)
犬は多少調子が悪い程度なら、見た目には元気です。
見て「おかしい」と思うときにはすでに病気が進行している場合が多いのです。
しかし、いつも愛犬を見ている飼い主だからこそ気がつく、微妙な初期症状があります。
症状に気づいたら、早めに獣医師の診察を受けましょう。
高橋ナツコ(ペットシッター)
犬は具合が悪くても、口で説明することはできません。
飼い主はぶだんから犬の健康に気を配ることが大切です。
高橋ナツコ(ペットシッター)
前立腺肥大はオスの老犬の半数以上に見られますが、多くは良性で症状としては、排便困難や腹痛などの動作を示します。
歩行異常や排便時の痛みも起こります。
若いうちの睾丸切除(去勢手術)が有効な予防です。
高橋ナツコ(ペットシッター)
毎日体重を測定し、グラフ用紙に記録してください。
順調に体重が増加していくことをたしかめましょう。
子犬がミルクをよく飲み、よくねむり、よい便をしながら順調に体重が増えていくようであれば、発育はすべて良好といえます。
生後4週間をすぎると、初めての虫くだしをしてやります。
初乳を飲んでいない子犬では、その時点で初回のワクチン接種が必要になりますので、お医者さんに相談しましょう。
母乳を飲んでいたもの、また人工哺乳を受けていた子犬たちも、やがて離乳の時期をむかえます。
この時期になると、子犬たちはいつとはなしに、母犬の食べるものに関心を示しはじめます。
しかし、子犬たちが自分でふつうの食事を食べられるようになるのは、生後30日前後ぐらいからです。
離乳時こそ、一生の食生活のもとになるドライのドッブフードの味にならす絶好のチャンスです。
ドッグフードの味になれれば、新しい飼い主も犬をゆずるほうも、ともに安心というわけです。
なお、離乳開始は30日齢を目安とし、55日頃までに終わらせたいものです。
高橋ナツコ(ペットシッター)
6歳以上のオス犬の60%に、前立腺肥大がおきています。
しかし、その多くは良性で肥大症状を出さないままにすごしてしまうのです。
年をとるとともに、アンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)のバランスがくずれていくことが原因となります。
とくにアンドロゲンの分泌が多すぎるためだといわれていますが、ふつうは良性の肥大をおこすだけです。
しかし、その他の前立腺の病気がおこると、熱が出たり、どことなく痛がり、犬を抱こうとしたり、体にさわったりすると、キャンキャンと鳴いたりします。
また、なんとなく歩きかたもおかしくなったり、排便のときに強い痛みがおこったり、便秘になることもあります。
治療には病気の種類によって、いろいろな方法がありますが、病気の種類がなんであっても、去勢手術が大切です。
去勢手術をした犬は、前立腺肥大はおこりませんので、去勢はこの病気の最良の予防法ということができます。
高橋ナツコ(ペットシッター)
平和で栄養もよくなり、伝染病の予防が進んだことで、人間社会と同様に、動物界においても犬猫、飼鳥などの高齢化が目だっています。
そして、それにともなう疾病も多くなってきました。
動物も10歳をすぎる頃からいくつかの老年性の特徴を示しはじめ、年とともに病気が進行していきます。
(1)動きがにぶくなり、首をすくめたり、背中をまるめたりする。
(2)尿のしつけがくずれる。
などがいい例です。
では、動物の体のなかでは、いったいどんなことがおきているのでしょうか。
(1)感覚器管(鼻、目、耳、舌)などの機能が低下する。
(2)生殖器の機能が低下し、性ホルモンが減少する。
睾丸がやわらかくなったり、卵巣が小さくなる。
(3)末梢血管がもろくなり、数が減少する。
(4)肝臓に脂肪が多くついてくる。
(5)体温の調節がうまくいかなくなる。
(6)のどのかわきに気づく能力が低下する。
それによってささいなことで水分不足がおこりやすくなる。
(7)消化器にガスがたまりやすくなる。
(8)腎臓の働きが低下する。
(9)下垂体が萎縮し、内分泌系の活動がにぶる。
(10)すべてのホルモン産生器管の機能が低下する。
(11)乳腺の腫瘍や子宮蓄膿症の発生率が高くなる。
(12)前立腺肥大や腫瘍の発生率が増える。
(13)免疫反応が弱くなる。
(14)関節やスジ、筋肉の働きが弱くなる。
(15)歯や歯グキの骨が弱くなりいたみやすくなる。
など、動物の高齢化にともなう一般的な体の変化があげられます。
高橋ナツコ(ペットシッター)
元気な犬が突然、意識がなくなって口からアワを出して倒れ、全身がけいれんをおこしたとなれば、あなたはきっとあわてることでしょう。
この発作は、長くて2~3分で終り、しばらくするうちにいつもと同じ状態にもどる。
こうした合には真性のてんかんの疑いがあります。
てんかんの場合、こうした全身のけいれん症状のほかに、けいれん中やけいれんのあとに便や尿をもらしたりすることもあります。
しかし、このような全身のけいれん発作は、てんかんだけでおこるのではなく、いろいろな病気にともなっておこる場合がありますので、しろうと判断は危険です。
必ず検査を受けて、病名をはっきりさせてもらいましょう。
てんかんは完全になおることはない病気ですが、治療によって発作をおこさないようにコントロールすることができるものが多いのです。
この場合、薬を一生飲ませることになりますから、ぜひとも飼い主の理解と協力が必要です。
毎日、薬をのんでさえいれば、健康な犬とかわりなくすごすごとができます。
高橋ナツコ(ペットシッター)
ふとりすぎは、人間社会と同じように、犬の世界でもますます多くなっています。
ふとりすぎになればなるほど、心臓、呼吸器、肝臓、すい臓、関節の病気や糖尿病を招くことにもなります。
この原因のほとんどは、飼い主が甘やかしすぎて、摂取するカロリーが多すぎるという悪循環のためにおこります。
また、ホルモンの異常によっておこる病気もありますので、お医者さんによく相談してください。
肥満の予防はまず、正しい食事を習慣づけること、そして適度の運動をさせることも大切です。
しかし、すでにふとってしまった犬については、特別な低カロリー食を作って与えるか、肥満症用の処方食を与えるようにしないかぎり、問題は解決しませんし、家族の全員が協力しないとうまくいきません。
高橋ナツコ(ペットシッター)
いわゆる"逆まつげ"のことです。
まつげが二列に生えていたり、あるいは不規則に配列していることをいいます。
これらのまつげが結膜や角膜を刺激して涙が多く流れたり、まぶたがケイレンするような場合は治療を受けなければなりません。
ほうっておけば色素性角膜炎がおこって目が黒くなり、盲目になることもあります。
この場合、大手術が必要になります。
異常なまつげが少ないときは、毛をぬくことで治るケースもありますが、数が多いときには手術が必要になります。
高橋ナツコ(ペットシッター)
短頭種(ペキニーズ、シー・ズー、パグ、仲など)の犬は、目のまわりの毛が眼球に当たったり、目が完全に閉じられないことなどが原因で慢性の角膜炎をおこし、黒い色素が角膜をおおうために視力を失うことが多いのです。
このような場合も、原因が明らかでなければ正しい治療ができませんので、必ず診断を受ける必要があります。
高橋ナツコ(ペットシッター)
犬はケンカなどで角膜(目の表面に傷をつけることがあります。
また、目のまわりの皮フ病やかゆみをともなう目の病気を気にして、自分で目をこすり、角膜を傷つけてしまううこともあります。
こうした場合、犬は涙を流し、目を開くことができません。
やがて、目の表面が白くにごってきます。
傷はごく浅いものから、ほかの眼の病気をひきおこす原因になるほど深い傷もあり、さまざまです。
とくに外傷性角膜炎は、眼球内部の病気に進行することが多いので、ただちにお医者さんの診断と治療を受けることです。
高橋ナツコ(ペットシッター)
涙があふれだして、目のまわりの毛が茶色く着色している状態になるのが涙やけです。
涙が多くなる目の病気では、すべて涙やけになります。
毛の白い犬や毛の色のうすい犬は、とくに目のまわりの汚れが目だちます。
涙やけの一般的な原因としては、目と鼻をつなぐ細い管がせまくなっていたり、つまっていたりすることが多く、とくにマルチーズ、スピッツ、仲、ペキニーズなど、目が丸く大きくとびだしているような種類に多くおこります。
できるだけ早く診察を受け、涙があふれでる原因をつきとめて治療してもらいましょう。
高橋ナツコ(ペットシッター)
瞬膜というのは、第三眼瞼といわれるものです。
目頭の方から出入りするうすい膜状のもので、その瞬膜の裏側にはリンパの組織があります。
この瞬膜の裏側につぶつぶができると、犬は粘液状の目ヤニをだし、涙も多くなります。
この病気は意外に多いのですが、ふつう、飼い主は気づきにくいので注意してみてください。
治療はふつう、薬の点眼でよくなりますが、病気が進んでいると、悪いところを切りとることが必要になることもあります。
高橋ナツコ(ペットシッター)
「目は口ほどに物をいう」といわれますが、目は目だけの病気のほかに、内科的な病気やそのほかいろいろな病気の症状を示してくれるものです。
そこで、目の異常をすばやく察知することは大切です。
そのチェックポイントは、
(1)目(結膜の部分)が赤くなっている。
また黒目の部分(角膜)が白くなっているのも異常です。
(2)左右の瞳の大きさが異っていたら、どちらかの目が異常です。
(3)左右の瞳の色や虹彩の色がふだんと異っていたら、どちらかの目が異常です。
(4)たくさん目ヤニがでているのは異常です。
(5)涙があふれたり、目頭の毛が茶色くなっている目は異常です。
(6)目を開くことができず、しょぼしょぼしていて、前足で目をこするような場合は異常です。
(7)瞳が昼間白く見えたり、赤や青く見えるのは異常です。
(8)必要以上にまぶしがる目は異常です。
(9)まぶたにふれただけで痛がる目は異常です。
(10)物にぶつかるようなら、視力に異常があります。
の10項目をチェックしましょう。
目の病気といっても、結膜の病気から角膜の病気、網膜、虹彩や毛様体、視神経の病気などさまざまです。
その中には、一刻も早く治療しなければ盲目になってしまう、おそろしい視神経炎や緑内障などの病気まであります。
ですから飼い主は、そのひとつひとつの病気がどのような病気であるかを知るよりも、ここにあげた10のチェックポイントで、目に異常があるかどうかをすぐに知ることが大切です。
高橋ナツコ(ペットシッター)