ドッグフードは、栄養上の問題はよいとしても、犬が好んで食べないという点が難問として残されています。
もうひとつの面は、こればかり毎日食べさせていては、宇宙食ぜめにあっているようで、食事に変化がなくてかわいそうだ、という考えです。
これは、アメリカの合理主義の産物で、私にはなじめないという愛犬家の心情です。
ドッグフードの嗜好性という点については、メーカーは十分な時間と経費をかけ、研究を重ねて、他の競争相手に一歩でも先行しようとしてしのぎをけずっています。
香りや味、固さや舌ざわりなどの点は、原料の配合と経済性よりも一番気を使っていることなのでしょうが、犬は多様な品種があり、生活環境や飼主の食習慣の影響など、いろいろの要素が複雑にからみ合いますから、すべての犬が絶対に好んで食べ、しかも栄養バランスのよいものを作ることはかなりむずかしいことになるようです。
レバーや肉類は、ほとんどの犬が好んで食べますが、それだけでは再三述べているように、偏食で、よい結果が得られませんので、嗜好性
の向上は、メーカー側の永遠の研究テーマとなることでしょう。
現在のところ、製品のタイプを多様化して、消費者に選択をまかせ、変化を持たせるといった方式がとられているようです。
医学や薬学の実験犬たちは、実験犬舎の中でドッグフードと水だけで生活しています。
この場合は、食事に変化を持たせると、実験内容によってはデータが狂ってしまうこともあり得るからでしょう。
ここの犬たちは、毎日のフードをあきもせず喜んで食べているわけです。
ペット犬は、家族と生活をともにしていますから、いろいろな人の食品を飼主の気のすむように、たとえそれが犬に多少有害であっても与えられ、だんだん嗜好の幅が拡大していきます。
これが文明社会に生きるペット犬の食生活の実情でしょうが、決して好ましい傾向だとは考えにくいのです。
パプア・ニューギニアだったでしょうか、タロイモを主食として生活している土着民がいます。
こういう人たちが、キャラメルやシュークリームやピッツァパイを好んで食べるようになるのには、かなりの年月を要することでしょう。
このことは、まったく逆に、もしかりに、タロイモが栄養的に完全食だとしても、われわれが彼らの主食だけで生活するのは困難でしょう。
現代の犬の食事についても、こういう面があるのは、誰の責任に帰すべきでしょうか。
人間が自分の嗜好に合わせて、身勝手に犬の嗜好の幅をひろげてしまい、多年の純粋な学問としての栄養学的な研究と、それに要する莫大な経費、これを基礎とした企業努力で生産された宝の粒を(しかも経済的な)利用しないのは、まことにもったいないと私は思っています。
犬を、ぐっと人間側に引き寄せて、自分の好きなものを犬にも与えたいという心情派であるあなたには、ドッグフードに、肉やレバー、ある
ときは野菜などを混ぜる場合は、二〇パーセン加ト以内におさえるように忠告します。
この混ぜる量の制限は、これ以上入れて、せっかくの栄養のバランスをくずしたくないからです。
ドッグフードは、確かにアメリカが発祥地で、合理主義的なアメリカ人には向いていると考えやすいのですが、ドッグフードに何かを加えたいという愛犬家の心情は、国籍のいかんを問わず、残念ながら変わらないもののようです。
このことは、アメリカのドッグフード・メーカーが、愛犬家たちに向かっていっている注意書きにも述べられてあり、はっきりした栄養学的根拠があるからです。
最近の若いお母さんの中には、子供を虫歯から守るために、絶対にチョコレートやキャラメルなどの甘いものは与えないことを徹底している方をみかけますが、犬に対しても科学的な割り切りかたが欲しいものです。
高橋ナツコ(ペットシッター)
もうひとつの面は、こればかり毎日食べさせていては、宇宙食ぜめにあっているようで、食事に変化がなくてかわいそうだ、という考えです。
これは、アメリカの合理主義の産物で、私にはなじめないという愛犬家の心情です。
ドッグフードの嗜好性という点については、メーカーは十分な時間と経費をかけ、研究を重ねて、他の競争相手に一歩でも先行しようとしてしのぎをけずっています。
香りや味、固さや舌ざわりなどの点は、原料の配合と経済性よりも一番気を使っていることなのでしょうが、犬は多様な品種があり、生活環境や飼主の食習慣の影響など、いろいろの要素が複雑にからみ合いますから、すべての犬が絶対に好んで食べ、しかも栄養バランスのよいものを作ることはかなりむずかしいことになるようです。
レバーや肉類は、ほとんどの犬が好んで食べますが、それだけでは再三述べているように、偏食で、よい結果が得られませんので、嗜好性
の向上は、メーカー側の永遠の研究テーマとなることでしょう。
現在のところ、製品のタイプを多様化して、消費者に選択をまかせ、変化を持たせるといった方式がとられているようです。
医学や薬学の実験犬たちは、実験犬舎の中でドッグフードと水だけで生活しています。
この場合は、食事に変化を持たせると、実験内容によってはデータが狂ってしまうこともあり得るからでしょう。
ここの犬たちは、毎日のフードをあきもせず喜んで食べているわけです。
ペット犬は、家族と生活をともにしていますから、いろいろな人の食品を飼主の気のすむように、たとえそれが犬に多少有害であっても与えられ、だんだん嗜好の幅が拡大していきます。
これが文明社会に生きるペット犬の食生活の実情でしょうが、決して好ましい傾向だとは考えにくいのです。
パプア・ニューギニアだったでしょうか、タロイモを主食として生活している土着民がいます。
こういう人たちが、キャラメルやシュークリームやピッツァパイを好んで食べるようになるのには、かなりの年月を要することでしょう。
このことは、まったく逆に、もしかりに、タロイモが栄養的に完全食だとしても、われわれが彼らの主食だけで生活するのは困難でしょう。
現代の犬の食事についても、こういう面があるのは、誰の責任に帰すべきでしょうか。
人間が自分の嗜好に合わせて、身勝手に犬の嗜好の幅をひろげてしまい、多年の純粋な学問としての栄養学的な研究と、それに要する莫大な経費、これを基礎とした企業努力で生産された宝の粒を(しかも経済的な)利用しないのは、まことにもったいないと私は思っています。
犬を、ぐっと人間側に引き寄せて、自分の好きなものを犬にも与えたいという心情派であるあなたには、ドッグフードに、肉やレバー、ある
ときは野菜などを混ぜる場合は、二〇パーセン加ト以内におさえるように忠告します。
この混ぜる量の制限は、これ以上入れて、せっかくの栄養のバランスをくずしたくないからです。
ドッグフードは、確かにアメリカが発祥地で、合理主義的なアメリカ人には向いていると考えやすいのですが、ドッグフードに何かを加えたいという愛犬家の心情は、国籍のいかんを問わず、残念ながら変わらないもののようです。
このことは、アメリカのドッグフード・メーカーが、愛犬家たちに向かっていっている注意書きにも述べられてあり、はっきりした栄養学的根拠があるからです。
最近の若いお母さんの中には、子供を虫歯から守るために、絶対にチョコレートやキャラメルなどの甘いものは与えないことを徹底している方をみかけますが、犬に対しても科学的な割り切りかたが欲しいものです。
高橋ナツコ(ペットシッター)