水中訓練のやり方(高橋ナツコ)

まず最初に訓練する人が水の中に入って、犬の背中が水の表面に出るように、下腹に両手を当てて浮かせます。

前足を水面にあげようとしたときには、頭のほうを軽く押えてやります。

犬が泳げるようになったら、陸の上と同じようにひもをつけたり、またはひもなしで「前へ進め」と命令して水の中へ進ませます。

こうして浅いところから深いところへ進むようになったら、こんどは陸上のときと同じように水面でもいろいろの訓練をしていくのです。

水中での「持ってこい」はボールなどよりもよく浮き、目につきやすい棒切れなどのほうがよく、はじめは陸の近くに投げ、だんだんと陸地から遠ざかるようにします。

水中での「前進」は、訓練する人が対岸へまわって、「来い」の命令をかけ、水面を横断させ、またもといた場所(これを熟地といいます)へもどる訓練です。

この「熟地」は、訓練の始めではあまり変えず、固定させておきます。

「持ってこい」と「前進」とがじょうずにできるようになったら、水中の救助作業にまで延長することもやさしく、そのほかいろいろな応用訓練に使えます。

なお、水中訓練の場合は訓練する人の許可がないのにだまって水の中へ入ったり、水の中でくわえたものを落とすなどという悪い習慣をつけさせないように、くれぐれも注意しなければなりません。

高橋ナツコ(ペットシッター)