犬の寄生虫(高橋ナツコ)

寄生虫でおこる病気も、回虫症、鉤虫症、鞭虫症、条虫症、コクシジウム症などさまざまあります。

これらの寄生虫が消化器管内に寄生し、発病します。

軽いものでは症状はあらわれませんが、逆に病気をおもくさせることが多いので、十分に注意しなければなりません。

症状としては食欲がへる、またよく食べるのにふとらない。

やせてくる。

ひどいものでは下痢や血便、嘔吐などの症状が見られます。

さらに重症になると、貧血をおこしたり脱水状態におちいり、死亡することさえあります。

下痢の原因もさまざまですが、寄生虫や原虫、吸収不良、腸性毒血症、膵機能不全による消化不良、潰瘍、腫瘍、ジステンパー、キャンビロバクター症、サルモネラ症、食物アレルギー、中毒、尿毒症などの病気があります。

「下痢をしたら、水も食事もやらないようにしている」という人もいますが、これは大間違いです。

このような処置は、脱水状態を進行させるので、たいへん危険です。

むしろこのような危険をおかすよりも、早くお医者さんに見てもらうことです。

下痢をした場合、家庭ではとりあえず食事の質について、次のようなことに気をくばりましょう。

(1)繊維質や脂肪をへらし、炭水化物も量をへらす。

また、良質のたんぱく質も少量とします。

(2)炭水化物を与えるときにはよく煮て与えます。

(3)糖分の多すぎるものは与えない。

がポイントです。

全肉タイプの犬の食品がでまわっていますが、こうした食品には、腸の働きを円滑にする粗繊維と各種の栄養のバランスを保つ栄養素が含まれていません。

そのために、腸の機能が低下し、肉が消化しきれないために、黒く悪臭の強い下痢便をします。

ですから、全肉タイプのドッグフードだけとか肉類を多量に与えないこと。

そのかわり、良質のドッグフードを与えるだけでも急速に腸の活動が正常に回復するはずです。

こうした病気では、肝臓もおかされます。

とくに子犬ではおそろしい低血糖症がおこりやすく、適切な治療と手あつい看護が必要になります。

しかし病気予防のためには、まず、根本を正さなければ改善されないということです。

高橋ナツコ