ワクチンの追加接種(高橋ナツコ)

狂犬病の予防注射が春秋二回、六カ月ごとの追加接種が義務づけられているのは、突発的な流行を想定して、血液中の抗体価(免疫力)を一定レベルに保持するために実施されているのです。

ジステンパーや伝染性肝炎の生ワクチンは、たいへんよい免疫ができるので、このワクチンが開発された当時は、幼犬のときに一回接種しておけば、永続性のある免疫ができるとして、永久免疫などと高く評価されたことさえありましたが、長年のデータと幅広い研究によって、抗体値の個体差が大きく、低い抗体価の犬では、一年ほどで予防効果がなくなることがわかりました。

このことは、野外にジステンパー・ウイルスが少なくなったこととも関連があり、抗体があるうちにジステンパー・ウイルスが入ると、その犬は、不顕性感染(症状をあらわさない感染)ですんでしまい、抗体価が上昇することになる
のですが、野外ウイルスが少なくなると、こういうチャンスにめぐりあわないために、ワクチンでできた抗体はどんどん低下して、ついに感染防御力がなくなってしまいます。

これは伝染性肝炎についてもいえることです。

このような理論にもとついて、諸外国でも年一回の追加接種が実施されるようになりました。

高橋ナツコ(ペットシッター)