血液検査の確立(高橋ナツコ)

ミクロ・フィラリアが血液検査でみつかった犬は、一〇〇パーセント心臓や肺動脈にフィラリア成虫が寄生していることに間違いありませんが、ミクロ・フィラリアの多い少ないから成虫の寄生数を正確に判定することはできませんが、臨床症状や臨床検査、レントゲン診断で重症かどうかの判定は可能です。

血液検査は、ミクロ・フィラリアがいるかどう・かみるだけでなく、肝臓その他の機能検査や、貧血があるかどうかなども合わせて判定するのに役立ちます。

ところが、血液検査がマイナスであっても、フィラリアが寄生している犬が、五~一〇パーセント(平均七パーセント)ぐらいあるので、血液検査でミクロ・フィラリアがでなくても、症状や他の臨床検査からフィラリアと診断される場合も当然あるわけです。

症状回虫とか鈎虫のような腸内寄生虫では、下痢や血便などの消化器症状がみられるので飼主にも気づきやすいのですが、循環器(心臓)に寄生するフィラリアでは、普通病状が徐々に進行するために、症状があらわれる頃には、かなり重症であることが少なくないのです。

一般的な経過として、初期症状には、疲れやすく、毛つやが悪くなり、なんとなく元気がなくなってきて、いつもの散歩のコースも、途中で帰りたがるというような変化がみられる程度です。

フィラリア症の特徴的な、咳(がんこなぜんそく様)や、苦しそうな呼吸、貧血症状、突然の脱力や失神、喀血、腹水などがあらわれたときは、症状がかなり進行していることを示します。

高橋ナツコ(ペットシッター)